昨シーズン、スノーボード・アルペン種目の全日本選手権で優勝するなど、顕著な活躍を遂げた上の宮中学校3年生の丸谷奈菜子さん(チーム・ヴィクトリア所属)が、このほど鶴見区の渋谷治雄区長のもとを訪れ、来シーズンの全日本連覇や冬季オリンピックでのメダル獲得など、さらなる活躍を誓った。

鶴見区役所で行われた表敬訪問

パラレル大回転で頂点に

 丸谷さんは、旗門と呼ばれるポイントを通りながら滑走し、タイムを競うスノーボード・アルペンの選手。

 種目は、旗門の幅の広いパラレル大回転(GS)と、旗門が狭くより細かなターンが求められるパラレル回転(DU)の2種目。1月に行われたJSBA全日本スノーボード選手権中部大会15歳以下アルペン女子のGS部門で優勝、DU部門でも準優勝を果たすと、2月にあった同関東大会でもGS優勝、DU準優勝と好成績を残した。

 迎えた3月、関東代表として出場した全日本スノーボード選手権では、GSで優勝を果たし、DUでも3位に輝いた。

全日本スノーボード選手権のパラレル大回転で優勝し表彰台に乗る丸谷さん(中央=写真は提供)

自作スライドでシーズン結果を報告

 表敬訪問当日、父・聡さん、母・千春さんとともに鶴見区役所を訪れた丸谷さん。自身で作成したというスライドを使い、競技の種類やシーズンの記録などを説明した。

 全日本スノーボード選手権で優勝を決めた際の映像も紹介。「1本目時点で1位と0.3秒差あった。みんなが滑ったあとでコースが荒れていたが、どうにか逆転できた」と喜びを語り、渋谷区長ら出席者から「すごい」と感嘆の声が上がる場面もあった。

実際に使っている道具を持参し、種目による違いなども説明

小1で競技スタート レースは昨シーズンから

 3歳から毎年スキーに行っていたという丸谷さん。

 スノーボードは小学校1年生のとき、「自ら『やりたい』と言って始めた」とし、小学校4年生から栃木県にあるゲレンデ「ハンターマウンテン那須塩原」でスノーボードスクールに加入。中学校1年生のころには大人に混ざり、滑りの技術を競うテクニカルの大会などで上位に入り、全国大会に出場するなど頭角を現していた。

 昨シーズンからは、那須から長野県上田市にホームゲレンデを移し、元プロスノーボーダーで現在ナショナルチームでコーチとしても活動する後藤夏樹氏に師事。

 カテゴリーもソフトブーツなどを用いるフリースタイルからハードブーツを使うアルペンに転向し、本格的にレース大会に挑戦すると、1年目から実力を発揮し15歳以下大会で頂点に立った。

競技中の丸谷さん(提供)

2034年冬季五輪で「金」掲げる

 現在、冬場は週末になると家族で長野県へ行く生活。今年は高校受験も控えるが、「家の近くの高校に行く予定」と、あくまで文武両道を目指す考えだ。

 雪国在住ではないという環境のハンデはあるが、「だからこそ1本1本集中できる」としたうえで、「毎回雪の上が気持ち良くて楽しい」とポジティブに笑う。

 憧れるのは、スノーボード・アルペンでワールドカップ総合優勝を果たし、世界ランク1位となった三木つばき選手。その背中を追い、まずは今冬から始まるシーズンに照準を合わせ、全日本選手権のパラレル大回転で2連覇、そして3位に終わったパラレル回転での優勝を目指す。

 さらに中期目標として、2030年に世界ジュニアワールドカップで日本人初の優勝、そして同年の冬季五輪フランス・アルプス大会への出場を置き、「34年冬季五輪ソルトレイクシティー大会での金メダル獲得」を掲げる。

 懇談を終えた渋谷区長は「カテゴリー転向後もすぐに結果を出すなど、本当に素晴らしい。ますます期待したい」と話し、「競技人生これから大変になっていくと思うが、楽しんでがんばってもらえれば」とエールを送った。

全日本選手権のメダルを手に微笑む丸谷さん。「受験はあるが、早く合格を決めて、たくさん練習をして2連覇を目指したい」と今シーズンの活躍を誓った


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