大本山總持寺の施設・三松閣内の一室で実践訓練にあたる鶴見署員(写真は提供)

浸水想定で2012年に協定締結

 鶴見警察署は大本山總持寺で12月15日、災害時に警察署庁舎が被災することを想定した代替施設設置訓練を行った。

 訓練は、警察署が被災した際も警察機能を維持することなどが目的。2019年以来、新型コロナの影響で中止となっていたが、異動もある警察で経験をつなぐことも必要として今回3年ぶりの実施にいたった。

 大本山總持寺が代替施設となるのは、東日本大震災翌年の2012年に協定を締結したことによるもの。

 鶴見警察署の海抜が1.8mと、津波発生時や河川氾濫時などに浸水が想定されていることから、警察署にも近い高台に位置する大本山總持寺の協力を受けた形だ。

 移転場所は海抜約20mとなる大本山總持寺の三松閣となっている。

鶴見署から總持寺への資機材搬出入、初動対応など実践

 当日は、交通課や刑事課など、発災時に役割が異なる各課から数人ずつ計約40人が参加。平日昼間に震度7の地震が発生した想定で実施した。

 2部制となった訓練では、実際に警察機能維持のために必要な資機材や書類などを鶴見署から車両などで運搬。三松閣の移転スペースに搬入するまでを確認した。

 移転本部では、時系列に収集した情報を書き出しながら、課ごとに与えられた事案に対応。1時間の訓練の中で、情報の錯綜や混乱する場面もあり、本番さながらの実践的な訓練となった。

 小学校の近くで火災という情報が入った際、司令役の一人として参加した片山真署長からは「避難が間に合わないならば署員を派遣して人命を優先」といった指示が飛ぶなど、緊迫した雰囲気もあった。

 訓練を終えた署員は「現在はすべての業務でOA化が進んでいる」としたうえ、「手書きや言葉で伝えるなどアナログは難しいが、非常時の環境で普段と同じことを限りなく100%に近くやらなければならない。今回体験できてよかった」と話した。

指示を出す片山署長


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