秋になり稲刈りを行うシーン

 鶴見神社(金子剛士宮司)に鎌倉時代から伝わる民俗芸能「鶴見の田祭り」が4月29日に行われた。

 新型コロナの影響で縮小されていた祭りは、4年ぶりに通常開催となった。コロナ前同様、境内に舞台を組み、近隣小中学生のステージのほか、氏子町会による模擬店などもあり、地域住民らでにぎわった。

鎌倉次代からの伝統 豊作や子孫繁栄願う

 鶴見の田祭りは、神壽歌(かみほぎうた)と呼ばれる節に合わせ、稲作の所作を演じる伝統行事。

 一年の豊作に加え、子孫繁栄の願いを込めて行われる。

 鶴見神社には鎌倉時代に伝わったとされ、明治期に政府の命により一度途絶したが、1987年に再興。以来、今年で36回目となる。

 これまでに、伝統文化ポーラ賞の地域賞、地域伝統芸能大賞・地域振興賞などを受賞。横浜市地域無形民俗文化財に指定されている。

総勢40人に区内3つの囃子保存会が作る伝統

 当日、模擬店は1時間ほどで完売が出るほどの盛況ぶり。ステージでは鶴見小学校、豊岡小学校のソーランや鶴見中学校吹奏楽部、鶴見邦楽連盟、横浜雅楽会のほか、区内出身のラッパー・Panbitなどが出演し会場を盛り上げた。

 田祭りは、例年通り夕方の神事から開始。神壽歌は、子どもらが演じる早乙女役や牛役、介添や衣装担当者も含めた総勢約40人により作られ、お囃子は鶴見に残る3つの保存会、潮田囃子、生麦囃子、市場囃子が担当した。

コロナ禍もつないだ伝統 継承を誓う

 主催する鶴見田祭り保存会の木佐美信行会長は「数々の賞を頂き、全国的にも認知度が上がった。コロナでも無観客などつないできた。外の舞台で有観客は嬉しい」とあいさつ。

 昨年、再興に尽力した先代宮司・金子元重氏が亡くなったことに触れ、「新たな気持で努める。日々研鑽し、伝統を継承していく」と決意を語った。

 来賓として登壇した鶴見区の渋谷治雄区長は、地域文化の振興に寄与するものと謝意を示した上、「次代に継承し、保存に努めてほしい。区としても協力していきたい」と話した。

 また、当日は田祭りに合わせ、神輿パレードも開催された(関連記事=こちら)。


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