寺尾小学校の校庭に打ち上がる花火(写真提供)

 寺尾小学校おやこ花火大会が7月22日、4年ぶりに同校校庭で行われ、訪れた児童や保護者ら約500人が夏休みならではの特別企画を楽しんだ。

 おやこ花火大会は、寺尾小学校おやじの会が主催。PTAの中の一委員会として2007年ごろに発足したおやじの会が、独自行事として開始したものだという。

 10年以上継続されていたが、ここ3年間は新型コロナウイルスの影響で中止を余儀なくされていた。

使用するのはおもちゃの花火だが、花火コーディーネーター指導のもと演出。束ねたりすることで見栄えが変わるという

“おもちゃ”でも本格的に 大人が楽しさ伝える企画

 当日使用される花火は、打ち上げ等に資格のいらない“おもちゃ”の花火のみ。

 それでも「子どもたちに思い出を」と、浅草橋の老舗玩具店「長谷川商店」の花火コーディネーターに指導を依頼。寺尾小PTA協力のもと、おやじの会メンバーらが手作りで本格的な花火演出に取り組んでいるのが特徴だ。

 「子どもたちのためはもちろんですが、準備する大人たち自らが楽しんでいる」と話すのは事務局を務める小峯宏秋さん。

 「大人が思い切り楽しむ姿を見て、子どもたちも見てて楽しいのだと思う。誰かのためでなく、まず自分たちが楽しむ活動を増やすことで学校を支える新しい仲間が増えれば」と意義を語る。

 実際、おやじの会メンバーが、サイリウムを手に激しく踊る「ヲタ芸」と呼ばれるダンスを披露するなど、毎回大人たちが楽しむ様子もある。

こちらも手製のキックターゲット。花火前のアトラクションも充実

スポーツ企画や肝試しも

 当日は、おやじの会メンバーやPTA役員などのほか、教職員ら50人ほどがスタッフとして参加。

 すのこを使った手製の発射台を用意するなど準備し、花火開始前には「寺リンピック」と題したスポーツ企画や、肝試しも実施した。

生演奏は卒業生の保護者でエレクトーン教室の講師が協力

すのこを使った発射台に花火を並べるメンバーたち

生演奏に合わせ点火 音と光が共演

 日没後30分ほどで始まった花火大会には、卒業生の保護者でエレクトーン教室の講師が協力。

 生演奏とアナウンスに合わせ、準備した花火に点火するなど、音楽と光が共演する“本物”さながらの花火が会場をわかせていた。

一斉に火を灯す花火。おやじの会メンバーらがバーナーで点火するという“アナログ形式”だ

観客から感動の声

 打ち上げやナイアガラなどおよそ90発ほどが夏の校庭を彩り、訪れた人たちからは「花火大会といってもちょっと打ち上げて終わりだと思ったが、生演奏の音楽に合わせてカラフルな花火がたくさんあった」と興奮と感動の声が上がっていた。

手持ちのナイアガラ

継続は力 「学校をふるさとに」

 4年ぶりの夏企画を終え、小峯さんは「実はおやじの会のメンバーには卒業した中学生もいる。小学校は卒業して数年経つと先生も変わってしまい、卒業生が遊びに来ることも難しくなるが、私たちや地域の人が同じ行事を続けていることで手伝いに戻ってこられると思う」としたうえで、「こうした企画を通し、『帰ってこられる学校』=『ふるさと』として残していくことにつながれば」と話した。


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