weTREES TSURUMIプロジェクト実行委員会が主催

 あなたの記憶に残るのは、どんな“におい”ですか?―

 JR鶴見線「鶴見小野」駅そばにある「ONO POINT ART SPACE」で12月20日、「においと記憶」をテーマに作品制作やワークショップなどを行う美術作家・井上尚子さんによる個展「語るにおい、街のきおく〜Life is Smell project〜」が始まった。

 会期は2月18日㈰まで(12月29日〜1月9日までは休廊)。会期中にはワークショップも予定されている(詳細下記)。

 展示は、鶴見区小野町周辺を舞台に、アートを題材とした地域活性化を目指す市民団体weTREES TSURUMIプロジェクト実行委員会(以下WeTT実行委員会)が主催。

 昨年からWeTT実行委員会が拠点として活用しているアートスペース「ONO POINT ART SPACE」を会場にした企画で、4回目の展示イベントとなる。

においの記憶たどり作品に

 井上さんは、一般的な立体物としての作品を通した視覚ではなく、嗅覚に訴えかける「におい」を表現に取り入れるという稀有な作家。古本や食べ物などを媒介として「においと記憶」をたどる作品など、国内外で活躍している。

 企画は、長年鶴見に住む2組の親子へのインタビューをもとに、時代と地域と人生にともなう「においの記憶」を振り返り、それぞれのにおいとともに歩んできた軌跡を空間に構成するもの。

 今回インタビューに協力したのは潮田の美容室と、鶴見小野駅前で酒店を営む2組の親子。

 それぞれの人生にまつわる思い出から、パーマ液のにおいや、昔まちに漂っていた金属のにおいなど6種類を瓶に閉じ込めて展示している。

記憶を振り返るきっかけに

 会期初日となった12月20日には、同スペースで「まちづくり事例勉強会」とオープニングレセプションが開かれ、井上さんが集まった約20人の地域住民らに企画意図などを語った。

 来場者からは「匂いという切り口で記憶を呼び起こすのが面白い。普段何気なく通り過ぎているが、改めて嗅いでみて自分でも思い起こす場面があった」と声が上がった。

 井上さんは、においは記憶のスイッチになるとしながら、「アートだからこそ考える機会にしてほしい」と話している。

 オープンは会期中水曜日〜日曜日まで、時間は11時〜18時。入場無料。アーティストの滞在日は井上尚子さんのSNS(Instagram)で発信される予定。

20日の勉強会で自身の過去の作品などを紹介しながら企画について語る井上さん(左奥)

「においの人生作品」をつくるワークショップも

 1月21日㈰14時〜16時まで、ワークショップ「語るにおい、生きるきおく」が行われる。

 ワークショップは、生い立ちから現在、未来に至るまでのにおいの記憶を語り合い、「においの人生作品」を作るというもの。

 「可視化できない匂いの感覚だからこそ、お互いで語らう時間は新たな気づきを生む。より深くお互いを知る機会になるでしょう」と井上さんは話す。

 対象は親子や夫婦、カップル、友達、兄弟姉妹等2人1組で、参加費は1組500円。各回先着4人まで。申し込みはts-info@wetrees.netへ。

 詳細はWEBサイトhttps://onopoint.jp/参照。

【語るにおい、街のきおく〜Life is Smell project 井上尚子展】

■会期 2023年12月20日〜2024年2月18日(12月29日〜1月9日休廊)

■開廊時間 水曜日〜日曜日11時〜18時

■会場 ONO POINT ART SPACE(横浜市鶴見区下野谷3−88松岡ビル3)※JR鶴見線「鶴見小野」駅から徒歩10秒

■主催 WeTT実行委員会 

■助成 横浜市地域文化サポート事業・ヨコハマアートサイト2023

■企画協力 象の鼻テラス

■協力 インタビュー=服部さん親子、安里さん親子ほか/什器=原倫太郎

■問い合わせ WeTT実行委員会メール:ts-info@wetrees.net ウェブサイト:https://onopoint.jp/

瓶に詰められたにおいをスイッチに自分のなかの記憶にふれる


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