県内3カ所のみ、名所100選の一角

 (公財)日本さくらの会選出の「さくら名所100選」の一つ、神奈川県立三ツ池公園=横浜市鶴見区三ツ池公園1-1。県内では三ツ池のほか、小田原城址公園=小田原市=、衣笠山公園=横須賀市=の3カ所のみという貴重な桜の名所に、2026年も桜シーズンが到来した。

 そこで今回は、三ツ池の〝中の人〟、公園を管理するスタッフの皆さんに、推しポイントを取材。三ツ池ならではの地形を生かした楽しみ方などを聞いてみた。

中の池の水面に反射するサクラ(写真は昨年=公園提供)

2月上旬~4月下旬まで70品種約1千本

 県立三ツ池公園は、1957年に開園。名前の通り、三つの池のある総合公園。

 園内の桜は、70品種約1000本植えられており、2月の寒桜を皮切りに、4月下旬の遅咲きの品種まで長く楽しめるのが特徴だ。

 三ツ池公園によると、年間100万人を超えるという来園者のうち、昨年は桜シーズンとなる3月、4月の数週間のみで約60万人に上るほどの人気を博している。

三ツ池公園による桜見頃マップ。本数はソメイヨシノが最も多いという

教えて「副園長」

 今回、話を聞いたのは、ともに副園長の藤田和宏さんと多賀恵子さん。多賀さんは園内の桜の管理主任を担当しているとか。

 まずは気になるソメイヨシノについて。

 三ツ池では横浜の開花予想から数日遅れるのが例年とのことで、今後の気温次第としながら、開花は3月20日~25日くらいで予想。満開はその1週間後となり、予想通りなら見ごろは月末から4月頭となりそうだ。

標準木が代替わり

 毎年、開花の際にニュースなどで話題になる「標準木」。実は三ツ池公園にも、園内での開花を宣言する際に基準とする標準木が存在するが、今年、代替わりを実施したという。

 標準木は、例年の傾向が大幅にずれないように、日当たりなどの環境が似た木を選ぶそうで、今回は「先代」から道をはさんで反対側のソメイヨシノを選定。根本に新たな標準木として立札を設置し案内している。

 三ツ池のソメイヨシノは、この標準木が5輪咲いた時点で開花が宣言される。

売店のそば、下の池と中の池の橋のたもとあたりにある旧標準木

先代から道を挟んで反対側に立つ新標準木

左:旧標準木、右:新標準木(昨年の開花時)

起伏ある自然「好きな景色探して」

 桜の愛で方について2人は「色々な楽しみ方があると思う」と、それぞれの楽しみ方でいいとしながらも、三ツ池ならではのポイントとして、「自然の地形を生かした楽しみ方」を推奨する。

 三ツ池公園は、都市部の公園でありながら、元々あった自然の起伏を生かして造られた公園。山があり、谷がある地形となっており、その自然の地形のさまざまな場所に桜が植えられているという特色を持つ。

 そのため、普通の公園では下から眺めることが多い桜を、上からや同じ目線など、「さまざまな角度で楽しめるのが三ツ池の楽しみ方の一つ」とする。

個人的な推しポイントを解説する2人

他の花とも楽しめる三ツ池の桜(写真は昨年)

〝推し〟は中の池の丘、たたずむ枝垂れ

 藤田さんは、「敷物の上で花見ももちろんですが、散策しながら色々な表情を楽しんでもらえれば」と説明。個人的な園内の〝推し〟スポットは「中の池のせり出した丘の上にある東屋から見た景色」だとする。

 右手には3月中旬に見頃となる横浜緋桜と、正面にはソメイヨシノ、左手には遅咲きの八重桜などが一望できるのでオススメだそうだ。

 さらに、パークセンター正面の山の上、冒険の森にある枝垂れ桜は、三ツ池の中でも1、2を争う巨木で、「ひっそりとした雰囲気で楽しめる個人的〝推し〟の一本」と藤田さん。

 里の広場横にある一カ所に約20種が植えられている丘もオススメとし、「黄色い花をつける桜など、一度にたくさんの品種を楽しみたいならここ」と見どころを解説。

 多賀さんは、「樹林の中にも桜はあるので、散策コースのなかにあるお気に入りの一本を見つけてほしい」と話す。

冒険の森にある枝垂れ桜

既存の木の延命に注力

 大学教授など有識者も含めた公園独自の「桜樹再生委員会」を組織し、桜の保全・管理などに取り組む三ツ池公園。

 桜シーズンを前に各地で相次いだ倒木を受け、緊急点検を実施するなど、安心して花見を楽しんでもらえるように努めている。

 昨今、全国的に見られるソメイヨシノの老木化は三ツ池公園でも同様だとするが、生命力の残る木は部分的に伐採しながら、「今ある木を極力延命する方向で整備している」と多賀さんは説明。

 花の広場で来園者に人気だった椿寒桜も、伐採した後に取り木という手法で再生させようと、現在、若い枝をバックヤードで育てているとし、「それが個人的な推し。まだ少し先になると思うが、また見られるのを楽しみにしてもらえれば」と多賀さんは微笑む。

中央に見える小さな白い根っこが生きている証。伐採した椿寒桜を取り木という手法で再生する試みを続けている

市民団体や米軍も協力

 また、今年は三ツ池公園を活用する市民団体などから成る三活会と横浜に駐留する米軍がボランティアとして協力。2月に既存の桜を維持するための整備も行った。

 さらに、憩いの広場には大島桜を5本植樹。桜は周辺の植物からの影響を受けやすく、間隔を空けて植える必要があることなどから、植える場所の選定が難しいとするが、新たな植樹にも取り組んでいる。

憩いの広場に植えられた大島桜。5年~10年後くらいに楽しめるという

4月15日まで「さくらまつり」開催中

 今年は3月16日~4月15日まで、恒例のさくらまつりを開催。期間中は週末を中心にキッチンカーを増台。ソメイヨシノの見頃には最大7台ほどの設置を予定している。

 駐車場も北門側の多目的広場に臨時駐車場を設置(料金は平日を含め繁忙期料金となるため注意)。開花状況は公式X(旧Twitter)などを通じて随時更新している。

 4月下旬ごろまで色とりどりの桜が楽しめる三ツ池公園。いつもの花見に加え、〝推し〟スポットを探しに広い園内を散策するのも面白いかもしれない。

さくらまつり中は増台されるキッチンカー

【県立三ツ池公園】

■住所 横浜市鶴見区三ツ池公園1-1

■入園無料

■交通アクセス 

◯横浜市営バス

「新横浜駅」から
横浜市営バス6系統、104系統の「鶴見駅西口」行⇒「三ツ池公園北門」下車 徒歩約3分

「JR鶴見駅西口」から
西友前広場向かい側「鶴見駅入口」バス停から横浜市営バス6系統、67系統、104系統の「梶山」行または「新横浜」行⇒「三ツ池公園北門」下車 徒歩約3分

◯臨港バス
「JR鶴見駅西口」から

鶴見駅西口バスターミナル「07系統三ツ池公園」行⇒「公園正門」下車すぐ

■問い合わせ 公園管理事務所045-581-0287(受付時間 8:30~17:00)/公式ホームページ⇒こちら/公式X(旧Twitter)⇒こちら


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