メインバリスタ・山口さんに聞く

 京急鶴見駅前の鶴見銀座商店街の一角、オープンして間もないコーヒースタンドが、じわじわと人気を広げている。その名も「The Rising Sun Coffee(ザ・ライジング・サン・コーヒー)」。

 難病のため芸能活動を休止中の俳優・坂口憲二さんが焙煎を手がける、知る人ぞ知る有名店だ。

 なぜ鶴見だったのか?お店のこだわりは?――

 コーヒーアロマ漂う店内で、店長兼メインバリスタの山口陽平さん(31)に話を聞いた。

一杯ずつ、丁寧にドリップする山口さん(※撮影のためマスクを外しています)

「まずは鶴見の人に」

 ザ・ライジング・サン・コーヒー鶴見店は、東京都内(場所非公表)、千葉県大網白里市に続く3店舗目。

 1月18日にグランドオープンしたが、実はその約1カ月前の12月12日からプレオープンしていた。

 「まずは鶴見の人たちに楽しんでほしかった。自分たちだけが目立つのではなく、まちの風景に馴染むことを目指している」

 場所を公開せずに開店するプレオープンの手法。出店した地域を大切にする思いがにじむ。

京急鶴見駅東口側の旧東海道沿い鶴見銀座商店街の一角にある店舗

きっかけは知人からの紹介 「商店街生きている」

 鶴見区での出店は、会社とつながりのある知人からの物件紹介がきっかけだという。

 「実は3店舗目の想定はなかったんですよ」。山口さんは明かす。

 紹介を受け、坂口さんが先行して見学に来たのが1年ほど前。

 「商店街が生きている」

 のちに視察で訪れた山口さんも同じだったというイメージがそれだ。

 多国籍、ファミリー層の多さ、データも調査し、“豆屋”としての可能性を踏まえ、出店が決まった。

まちに溶け込むデザインに

 「お前に任せる」。坂口さんからそう言われ、店舗デザインからすべてこなしたのが山口さん。

 6坪の店内。テイクアウト専門とした。

 内装は、外装のタイルの色合いをいかし、シックな色合いで統一した。

 海や空を連想させる他の2店舗とは異なるデザイン。「商店街のコミュニティに根付きたい」。その気持ちが細部にあらわれている。

「コーヒーのおいしさを知ってほしい」と話す山口さん

目指すは海外のカフェ文化

 使用するカップは、12オンス(約335ml)。コーヒーとしては比較的大容量と言える。

 「その分ハンドドリップは気を遣います。最後まで美味しく飲めるように淹れないと」

 そう言って笑う山口さん。大学卒業までコーヒーをほとんど飲んで来なかったというから驚きだ。

 コーヒーとの出会いは、大卒後、1年間留学したオーストラリア。「2回くらいしか行っていないのに、『陽平は砂糖2杯だったよな』って声かけてくれて」。

 海外のカフェ文化に触れ、一気にハマった。

 帰国後、アルバイトから入り、バリスタとして成長。縁あって坂口さんから声がかかり、2020年に入社すると都内店舗の店長などを経験してきた。

12オンスのカップ=右。メニューはハンドドリップ、エスプレッソを用意。カフェインレスも可能だ

季節により豆が変わるある日のビーンズリスト。酸味や苦味など、味のバランスがわかる

焙煎は常時7〜8種類を提供

 現在4人のスタッフで切り盛りする鶴見店。人通りが少なく、お店を目がけてくるという他2店舗と違い、商店街という立地。すでに土日などは列をなすことも多い。

 九十九里で坂口さんが焙煎しているという豆は、常時7〜8種類が楽しめ、味は季節によって変わる。

 立地を踏まえて提供を始めた「本日のコーヒー」は、都内店舗にはない試み。「値段を抑え、待ち時間なくクイックに出せるものをと考えた」という。

「コーヒーで鶴見を盛り上げたい」

 「僕たちは豆屋さん。コーヒーの美味しさに気づいてもらい、まちの中で、暮らしの中でコーヒーを楽しんでほしい」と山口さん。

 店内では焙煎豆のほか、コーヒーグッズ、オリジナルアパレルグッズなども販売。今後はガレージセールなども検討中だという。

 「出来る限りになるが、商店街や地域のイベントにも協力したい」。自慢のコーヒーで、まちを、鶴見を盛り上げていく準備は万端だ。

販売している豆は、ひいてもらうことも可能

コーヒーグッズやアパレルなどオリジナル商品も並ぶ

【The Rising Sun Coffee鶴見店】

■住所 横浜市鶴見区鶴見中央4−15−13

■営業時間 10時〜18時

■定休日 無休

■問い合わせ 公式ホームページ Instagram(鶴見店)

 


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