川崎市との境にある江ケ崎町にオープンしたパン店「ばくのいえ」。道をはさんですぐが川崎市という立地

設備の不具合やコロナでの密回避で移転

 豊岡町で人気を博していたパン店「麦の家」が4月1日、新たに店名を「ぱん工房ばくのいえ」に変更し、江ケ崎町に移転オープンした。開店からまもなく3週間、連日完売が続くなど、引越し先から早くも“嬉しい歓迎”を受けている。

 以前からの名称変更は、「麦」という文字が「ばく」と読みづらかったことが要因だという。

◇ ◇ ◇

 「ぱん工房ばくのいえ」は、「麦の家」として2010年、豊岡商店街にオープン。溶岩窯で焼く本格的なパンを購入できる店舗として、開店以来、地域住民らから親しまれた。2016年には本町通に2号店を構えている。

 同店によると、移転は窯や発酵機、施設の老朽化などによるもの。

 「数年前から不具合が出始めていた」とし、コロナ禍にスタッフの密集などを緩和するスペースの確保が難しかったことも追い打ちをかけ、店舗の修繕でなく移転を決断したという。

旧店舗よりも狭くなったというが、並ぶ商品種類は変わっていないという新店舗。奥に作業するスタッフが見える

障がい者の就労支援施設

 実は同店、障がい者の就労支援施設。障がいのある人がパン作りを通し、社会人としてスキルアップすることなどを目的に働いている。

 運営するのは鶴見区内で障害者福祉事業所を手がける社会福祉法人大樹だ。

 ばくのいえの管理者・横内翔さんは、「駅近くからの環境の変化は不安だった」としながら、大樹による施設が2カ所あることなどを理由に「江ケ崎町を移転先に選んだ」と明かす。

導線が確保された作業スペースでは障がいのある利用者が真剣な表情で仕事に取り組む

前提は「おいしいパン屋」 手作りにこだわる100種類

 豊岡でのスタート当初より、「おいしいパン屋を覗いてみたら、障がいのある人たちが元気に一生懸命働いていた」というイメージで運営されている同店。

 新店舗は新築2階建てで、22㎡の店舗部分とパンや焼き菓子を作る作業スペースが1階と2階にあり、最大で20人くらいのスタッフが勤務できるという。

 商品は全部で100種類ほど。食パンやブレッド、フランスパンから、菓子パンや調理パンなどがあり、季節により提供商品が変わる。

 こだわりは、ピザのソースやクリームパンのカスタードなどまで、ほとんどが手作りという部分。

 横内さんは「利用者さんは丁寧で細かな作業の得意な人が多いので、みんなきっちり仕事をこなしている」と話す。

丁寧に生地を巻く利用者。味の決め手は「努力」と「情熱」だ

焼き上がりは午前中のみ 「お気に入り見つけて」

 「店舗スペースは狭くなったが、作業スペースは倍近くになった」と横内さん。作業場では、黙々とパン作りに取り組む利用者たちの真剣な表情が見られた。

 価格は主に160円〜240円程度。同店によると、通常のパン店と異なり利用者の就業時間が日中に限られるため、焼き上がりは毎日昼頃までに終わり、午後の追加はないという。

 「まだ出せていない商品もある。通いながらお気に入りのパンを見つけてもらえれば」と同店。営業は平日月曜日〜金曜日で、10時〜17時まで。駐車場(5台分)と駐輪場完備。問い合わせは「ぱん工房ばくのいえ」℡045−633−8640。

テーブルとイスが設置されている外のデッキスペース

【ぱん工房ばくのいえ】

■住所 横浜市鶴見区江ケ崎町17−12

■営業時間 10時〜17時

■定休日 土日祝ほか

■問い合わせ TEL:045−633−8640 FAX:045−633−8641

■交通アクセス

JR南武線「矢向駅」から徒歩20分/臨港バス「江ケ崎」バス停から徒歩5分


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