日本のみならず、世界に約1万5000カ寺を有する曹洞宗の二大本山の一つ、大本山總持寺。

 その總持寺では、同寺を開いた太祖・瑩山紹瑾(けいざんじょうきん)禅師を偲び、没後50年ごとに大遠忌法要を奉修。来年2024年4月、700回目となる大遠忌を迎える。

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 50年に一度の機会となる大遠忌を前に、總持寺では今年4月からさまざまな取組に着手。5月のイベント「ひかりの誓願」に続く第2弾として、11月から「Zen in One」を合言葉とした新プロジェクトを開始した。

 その名も「總持寺 世界禅Challenge」。教えの根幹となる「坐禅」を通し、世界をつなぐ――壮大なプロジェクトを進める大本山總持寺大遠忌局に企画の全容とその思いを聞いた。

瑩山禅師700回大遠忌を記念し建てられた角塔婆とともに決意を語る大本山總持寺大遠忌局の面々(写真左から三村契一局長、深川佑輔書記、亀野元彰教化出版課長)。角塔婆は一本の奈良県・吉野杉から削られたもので、地上10m、60cm角ある。五色の紐が、後ろに写る大祖堂に祀られている瑩山禅師像の指と結ばれているという

受け継がれる瑩山禅師の教え

 「そもそも禅とは日常のことなのです」

 大本山總持寺 大遠忌局の三村契一局長は、そう説明する。

 瑩山禅師が生きた鎌倉時代後期は、蒙古襲来や疫病蔓延、大震災の発生などの困難な時代だった。
 当時にあって女人救済を掲げるなど、『あらゆる人を救いたい』と願った瑩山禅師が広めた「禅の教え」。

 それは、『難しいものではない』『選ばれた人だけが実践するものでもない』というものだった。

 三村局長は、禅の教えが「特別な人だけのもの」というイメージを持たれていることについて、「禅の修行は、何か一つの正解にたどり着くために痛みに耐え、我慢をし続けるような『厳しさ』が重要ではないのです」と話す。

 禅の教えでいう精進とは、日常の根底である生かされている命の疑問に自分なりの答えを探しつづけることで、直面する現状が自分にとってどういうものかを突き詰めていくことを指すのだという。

 「そのため、一つ答えがわかったから終わりではない。生きていれば違う毎日が来る。それを自分に照らし合わせていく、その積み重ねが坐禅の心で生きるということ」と三村局長。

 「だから坐禅は、難しい数式も理屈もいらず、誰でもできるものなのですよと、瑩山禅師は伝えている」と続け、優しく笑む。

さまざまな「体験」ができる禅チャレンジの企画

全国8カ寺をつなぎ、みんなで「坐禅」体験

 そうした教えに気づき、感じる修行。連綿と行われ続けてきた「坐禅」。

 「足を組める組めないは関係なく、子どもから大人まで誰にでもできるもの」――悠久の昔から伝わる行いを現代から未来へつなぐために企画されたのが、「總持寺 世界禅Challenge」だ。

 「禅Challenge」は、人種や性別、年齢、宗教や宗派も越え、「坐禅」を通してみんなが一つになることを目的としたプロジェクト。

 總持寺を含む全国8つの寺をオンラインでつなぎ、坐禅体験をメインに、「ためになる法話」や「禅を学ぶクイズ」など、楽しみながら「禅」に触れる機会として企画された。

 プロジェクトでは、各地のFMラジオ局とも連携し、毎回ゲストにパーソナリティも迎える。

 開催は11月5日の第一回目を皮切りに、5月12日の集大成まで全8回のシリーズとなっている。

 企画の中心となって進める大遠忌局の亀野元彰教化出版課長は「教えを知って頂くだけでなく、体験してもらいたいという思いで場を作った。体験が種となり、今後につながっていけば」と立ち上げた思いを明かす。

11月5日に開催された第一回目の様子(大本山總持寺祖院=提供)

貴重な僧堂とのふれあい 地元鶴見ならではの魅力も

 總持寺とオンラインでつなぐ全国8つの寺は、いずれも専門僧堂と呼ばれる修行寺。

 僧堂は世界中でも30にも満たない数少ない寺で、今回の8カ寺には日常の言語が英語となっている外国人僧侶のための僧堂や、尼僧と言われる女性僧侶のみが修行する寺など、特徴ある寺が名を連ねている(詳細下記地図参照)。

 「瑩山禅師さまは女人救済のみならず、すべてを救いたいという願いを持たれていた。没後700年経った今、その教えが人種や性別を超えて広がっている現状を感じて頂ける様々な特徴をもつ曹洞宗を代表する修行道場に協力をお願いした。普段、生活の中ではふれあえない修行僧やご老師と触れ合うことのできる貴重な機会だと思う」と亀野さん。

 今企画で總持寺は大本山会場として毎回会場となるため、鶴見区民は地元にいながらして全国の僧侶の話を聞くことができるという魅力もあるという。

 静岡県磐田市の観音寺の副住職で、大遠忌局の書記として禅Challengeにかかわる深川佑輔さんは、お膝元である鶴見へのメッセージとして、「静岡には『曹洞禅の大本山に行ってみたい』という人がたくさんいる。最近では「ZEN」に興味を持つ海外の方々がいらっしゃいます。洋の内外を問わず、多くの方が憧れる禅の道場「大本山總持寺」が地元鶴見にあるということを知り、ぜひ一度体験をしてほしい」と呼びかける。

11月5日限定で授けられた実際の御朱印

 

開催日限定の御朱印を配布 

 プロジェクト中は、参加の記念として限定の御朱印が授けられる。

 御朱印には、瑩山禅師が記した坐禅の指南書『坐禅用心記』に書かれた言葉が添えられており、毎回異なる内容となっている(總持寺会場でも毎回授けられる)。

2会場をオンラインで結ぶ(11月5日開催の様子=提供)

第2弾は 12月10日 北海道 定光寺 参加者募集中

 11月5日、記念すべき一回目は、太祖・瑩山禅師が開いた石川県輪島市の大本山總持寺祖院とつないだ。

 当日は両会場に多くの地域住民らが参加。初めて坐禅をするという声も多く聞こえるなか、自分と向き合う時間を楽しむ様子があった。

 今後は、12月10日、2024年1月7日、2月11日、3月3日、4月7日、5月5日、5月12日(いずれも日曜日)に開催予定。

 第2回目となる12月10日は、北海道釧路市・定光寺と總持寺をつなぐ。時間は14時〜16時(受付13時30分〜14時)。坐禅体験のほか、法話・クイズ、警策体験などがある。

 「皆で坐禅している空気感は言葉にあらわせません。これは実際に体験しないと味わう事ができないものです。さらにこの企画を通じて、日常を丁寧に生きる心など、禅の教えにふれてそれぞれに持ち帰ってほしい」と亀野さん。

 大本山会場は、總持寺大祖堂下の瑞応殿(ずいおうでん)。参加費は無料。坐禅しやすい服装で、持っている方は坐蒲(坐禅用クッション)を持参(貸出あり)。

 申し込みはPeatix(ピーティックス)専用ページより(⇒こちら)。

第一回の總持寺会場に集まった区民ら(提供)

【曹洞宗大本山總持寺 太祖・瑩山禅師700回大遠忌特別企画「總持寺 世界禅Challenge】

大本山總持寺と全国8カ寺をオンラインでつなぎ、「教えの根幹」となる坐禅体験などを実施

■開催日時 11月5日、12月10日、1月7日、2月11日、3月3日、4月7日、5月5日、5月12日(いずれも日曜日)

■詳細はプロジェクト公式ページ⇒こちら

■参考 Instagramアカウント⇒@daihonzan_sojiji

■タイアップ TOKYO FM/JFN朝の人気番組「ONE MORNING」にて​「NEW TREND ONE×總持寺 世界禅Challenge」を毎月第3月曜日に放送中⇒詳細はこちら

■主催 曹洞宗大本山總持寺

■特別協力・開催寺院 曹洞宗大本山永平寺

■開催寺院 定光寺(北海道釧路市)/正法寺(岩手県奥州市)/總持寺祖院(石川県輪島市)/正法寺(愛知県名古屋市)/洞松寺(岡山県小田郡)/安國寺(福岡県福岡市)

■協力 全国曹洞宗青年会、各地曹洞宗青年会、鶴見大学・鶴見大学短期大学部、鶴見大学附属中学校・高等学校、鶴見区特化型ポータルサイトこれつる~日日是つるみ~編集部

■企画制作 株式会社ダブリューアール


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