手製の“横断幕”でお出迎えした岸谷小児童

1勝につき10万円の貢献活動

 鶴見区東寺尾出身でプロ野球・阪神タイガースの青柳晃洋選手(28)が、11月17日、岸谷小学校と上寺尾小学校を訪れ、自身で選んだ本の寄贈と講演を行った。

 活動は、地元鶴見区内の公立小学校22校と市立保育園4園に対し、1勝につき10万円を寄付するとして昨年開始した社会貢献活動。寄贈に合わせて学校にも訪問し、児童と交流している。今年は13勝を挙げ、130万円分の本と図書カードを贈った。

子どもたちの質問に答える青柳選手

寺尾ドルフィンズが原点

 青柳選手は、寺尾小、生麦中出身。小学校5年生のとき少年野球チーム・寺尾ドルフィンズで野球人生をスタート。

 その後は川崎工科高から帝京大に進み、ドラフト5位で阪神タイガースへ入団した。

 昨年夏の東京五輪では日本代表として金メダルに輝き、シーズンでは自身初となる最多勝と最高勝率のタイトルを獲得するなど活躍。

 さらに今シーズンは2年連続となる最多勝と最高勝率に加え、最優秀防御率の投手3冠を達成した。

上寺尾小学校では校内のスロープで児童とふれあった

2校で交流 寄贈式などで交流

 自身が大学時代に本の良さに気づき、「小さい頃から本読む習慣をつけてほしい」と始めた貢献活動。今年は『夢をかなえるゾウ』シリーズの0巻から4巻の4冊(文響社)を寄贈本に選んだ。

 岸谷小学校では校庭で行われた全校集会に参加し、寄贈式として出迎えた児童たちとキャッチボールなどで交流。上寺尾小では、放送室から全校向けにあいさつし、「本は人と話さなくても、違う意見を知ることができる。1ページめくるだけでいいのでチャレンジを」と語りかけた。

 両校とも高学年向けの講演を実施。「生麦中学校時代も補欠で、下手だった」と自身の経験を踏まえながら、夢を諦めない大切さを説いた。

上寺尾小5・6年生約200人の前で講演する青柳選手

「誰に何を言われても諦めないで」

 児童からの「挫折したときにどう立ち直ったか」の質問に対しては、「挫折ばかりの人生だったが、まだ成長すると思って、とにかく夢を諦めなかった」と熱弁。

 サイドスローという変則的な投げ方を笑われていたことも明かし、「真似をされたり、それでプロにはなれないなどと言われたが、自分の個性。俺にはできると思っていた」と話した。

 母子家庭で育ったことにも触れ、「環境のせいにしてほしくない。夢が変わっても構わない。やりたいことを見つけたら、誰に何を言われても諦めないで」とメッセージを送った。

 講演を終えた青柳選手は「現役の間は続けたい。最多勝にこだわりはないが、多く勝って、多く寄付したい」とコメント。「鶴見区で地元出身の有名人はと聞かれたら、青柳と言ってもらえるように活躍したい」と笑顔を見せた。

“青柳コーナー”の設置も

 寄贈を受けた小学校では、昨年から“青柳選手コーナー”を設ける学校もある。

 上寺尾小学校でも、学校内で要望を聞き、寄贈された図書カードで本を購入。図書には青柳選手の社会貢献活動マークを貼り、コーナーに配置している。

 学校によると、今回も同様の方法で購入する予定としている。

 なお、青柳選手は、今年8月にも鶴見区少年野球連盟の20チームにバットやグラブなど野球用具140点を寄贈している。


最新記事