交流した2チームのメンバーら

世界最大規模のロボット競技大会 本番目前、健闘誓う

 横浜サイエンスフロンティア高校・附属中学校=横浜市鶴見区小野町6=で4月15日、ロボット競技の世界大会「FIRST LEGO League」(ファーストレゴリーグ以下FLL)に出場を決めている小学生チーム「Energy EX」(エナジーイーエックス)と、同校ロボット探究部のチーム「Light Side Robotics」(ライトサイドロボティクス以下LSR)による交流会が開かれた。

 世界の舞台を今月と来月に控える両チームのメンバーらが、互いに自分たちの取組を発表しあうなど交流。本番を前に健闘を誓い合った。

 FLLは、LEGO公認の110カ国が参加する世界最大規模のロボット競技大会。毎回決められたテーマの中で、研究発表や自作レゴブロックでのロボットなどで競う。

 年齢ごとに部門が設けられており、Energy EXは小学校1年生から3年生を対象としたExplore部門、横浜サイエンスフロンティア高・附属中のLSRは小学校4年生から高校1年生を対象としたChallenge部門にエントリーしている。

 両チームは2月の全国大会で好成績をおさめ、Energy EXは4月20日〜22日にアメリカ・ヒューストンで開催の世界大会に、LSRは5月18日〜21日にモロッコ・マラケシュで開催の世界大会に、日本代表として出場する。

Energy EXがレゴとプログラミングを駆使して作った遊園地「エナジーランド」を高校生に解説する児童ら

エネルギー問題解決に「発電する遊園地」

 Explore部門に出場する「Energy EX」は、レゴを使ったロボットプログラミング教室・中央出版株式会社Kicks講座を受講している小学生チーム。

 オンライン受講の中でFLL参加希望者を募り、手を挙げた横浜市内と藤沢市内の小学生で構成。今年度進級後の4年生5人、2年生1人が参加する。

 挑戦するExplore部門は、与えられたテーマの中で独自の解決策を調査し、プログラミングを駆使した自作のレゴブロック、ポスターなどを使い結果を発表。勝敗はなく、活動に対して賞が贈られる。

 今回のテーマは「エネルギー」。

 メンバーらは、学びを深めるため様々な施設を見学。「一人で解決できる問題ではない。楽しみながら知り、みんなで取り組むことが必要」と、遊園地のアイデアにたどり着き、発電の仕組みを取り入れたレゴブロックを制作した。

 2月の全国大会ではコーディング賞を受賞し、ファイナリストとして初の世界大会出場を決めた。

ロボットゲーム用のロボットについて英語で説明する高校生

YSFロボット探究部 2年連続世界へ

 横浜サイエンスフロンティア高校・附属中学校ロボット探究部のLSRは、進級後の現在、中学2年生から高校2年生までの9人が力を合わせるチーム。

 Challenge部門は、レゴブロックを使った自立型ロボットで時間内にミッション攻略を目指すロボットゲームと、大会から出されるテーマを研究し、問題解決策を提案する「イノベーションプロジェクト」など3分野のプレゼンテーションで評価される。

 「未来のエネルギー」をテーマとしたプレゼンでは、温室効果が二酸化炭素の25倍とされるメタンガスにおいて、排出量が世界の4%を占める牛のゲップに着目。

 回収することで5000万人分のエネルギーに匹敵するとして、実際の牛で回収法を実験しながらエネルギー化をはかる様子を発表し、2月の全国大会では総合2位を獲得。同校ロボット探究部として、2年連続3度目となる世界大会への切符を手にした。

本番同様、高校生らを前に、緊張した面持ちで英語のプレゼンに臨む児童ら

英語でプレゼン 取組を紹介

 交流会は、生麦の学童保育「STATION KID」を活動拠点とし、横浜市内の児童が多いEnergy EXが、経験のある地元のチームに学ぼうと同校に依頼したことがきっかけ。

 当日は、互いにチームの取組を紹介。世界大会同様、英語でのプレゼンも行い、児童・生徒とも緊張感をもって臨んでいた。

 児童らは、「エナジーランド」と名付けたレゴブロックの遊園地について解説。ジェットコースターやフリーフォールなど、アトラクションの動力で発電する仕組みを説明し、高校生からは「なるほど、リニアの逆バージョンだ」などと感嘆の声が上がった。

 続けて発表した生徒たちは、「SDGsのターゲットに合致する」と、牛のゲップの回収について研究成果を披露。大会さながらに、2分半で15のミッションをクリアするロボットゲームも実践し、児童たちは高校生がプログラムしたロボットの動きに見入っていた。

仕組みを説明する児童。高校生も興味津々だった

15のミッションを2分半でこなすロボットゲームを実践する高校生たち。アタッチメントを変えながら取り組む姿に子どもたちの目は釘付けだった

「世界でがんばる」 両メンバー意気込み

 Energy EXメンバーで3回目のFLL出場という大迫悠希さんは「過去2回負けて悔しかった。世界大会出場はうれしい」と笑顔を見せ、フリーフォール蓄電を担当した福原佑馬さんは「何度も試した仕組み。『やったー』という気持ちだった」と喜びを表現。

 河辺睦樹さんは「ここまでがんばってきたから、世界大会もがんばる」と意気込み、鶴見区出身で上寺尾小学校に通う花見俊拓さんは「何か評価されるように、世界大会もがんばりたい」と力を込めた。

 交流会を終え、あいさつしたロボット探究部顧問の徳永康人教諭は「一番は楽しむこと。楽しんで、一緒にFLLを盛り上げましょう」とエール。

 同部LSRのリーダー・野邨爽斗さんは「僕たちは残り1カ月。最後まで練習して、目指すは世界1位」と活躍を誓った。

世界に羽ばたく子らへ支援も募る

 Energy EXは現在、自費となる渡航費への支援を募るため、クラウドファンディングを開設中。チームによると、支援を求め行政などの助成金がないか調べたが仕組みがなかったためという。

 渡航費は児童6人分だけで約170万円。募集終了まで残り5日となっており、現在までに63.7万円が集まっている。クラウドファンディングはこちら


最新記事