地域の有志が子どもらに無料または低額で食事を提供する「こども食堂」。2012年、東京都大田区の八百屋で始まった夕食提供の取組が第一号とされる活動は、今年で10年を迎える。

 取組は全国各地に広がり、主体も地域住民、NPO法人、店舗などさまざま。対象も子どもにかかわらないなど多様化している。

 鶴見区内でも、それぞれの思いでスタートし、「子どものため」「社会のため」と活動を続ける人たちがいる。

『じいじ』と『ばあば』がおもてなし

 レアールつくの商店街の中ほどにある喫茶ラズベリー。2021年に同店を引き継いだオーナーの高内夫妻が、同年12月からスタートしたのが「かえでこども食堂」だ。

 「みんなに、『じいじ』と『ばあば』と呼んでもらっているんです」

 おじいちゃん・おばあちゃんの家のような感覚で過ごしてほしい―そんな思いで立ち上げた「かえでこども食堂」。「かえで」は、喫茶店の看板犬・かえでからとった。

 コロナ禍で開始した活動だが、テイクアウトなど工夫を凝らしながら一度も休まず続けている。

年代わけ、幼児から大人まで対象に

 現在は、年代をわけて月に2回行っており、第3または第4日曜日に3歳から小学校6年生対象の「こども食堂」を実施。第3木曜日には中学生から30歳までと、幼児とその保護者を対象とした「青少年の部」も開く。

 いずれも予約制で、喫茶店の営業終わりや休日を活用。こども食堂は毎回満席になる20人以上が参加し、断ることもあるという盛況ぶり。

 テイクアウトもある青少年の部も、持ち帰りだけで60食になるときもあるという。

 食材は寄付などでまかない、レシピは高内左枝子さんが考えている。

人気No.1の看板犬・かえでと高内左枝子さん

コロナ禍、心安らぐ温かい場所に

 もともと、子どもや孫が大きくなったタイミングで、なにかボランティアができないかと考えていたという左枝子さん。

 コロナ禍で感じた世の中の暗い雰囲気、自身の子育ての経験、そんなことを踏まえながら、「心の安らぐ地域の居場所を作りたい」とこども食堂の開設にいたった。

 当初は右も左もわからず、鶴見区社会福祉協議会や鶴見区に相談。近隣の学校を訪れ、一校ずつあいさつにまわった。宣伝だと思われたくないと、喫茶店の名前は使わなかった。

 「お金があるとかないとかではなくて、心が貧しくならないように、温かい場所になるといいと思っている」と左枝子さん。

 スペースの問題もあるというが、こども食堂の参加は幼児などで付き添いが必要な場合を除き子どもだけ。「(子どもを)預けて家のそうじ、コーヒーを飲みに行く、そんな時間があってもいい」と親の気持ちにも寄り添う。

ボランティアなど「人」が財産

 開催当初から参加者も多かったが、ボランティアも多く、約20人が活動。なかでも高校生など学生が5人ほどと目立つ。

 若者たちはアイデアも提案してくれるといい、のぼりに「かえで」のデザインを買って出るなど積極的。敬老の日に高齢者向けの企画を実施する後押しもしてくれたという。

 「人に恵まれている。財産」と高内夫妻は感謝する。

 食育クイズや紙芝居など、食べるだけでなく楽しい仕掛けも用意する「かえでこども食堂」。

 最終的に全年代の居場所を作るのが目標。「2人にとっても元気をもらえる場所。身体が動かなくなるまでは続けたい」と話している。

【かえでこども食堂】

■こども食堂(3歳〜小学校6年生)=第3または第4日曜日16時〜18時 ■青少年の部(中学校1年生〜30歳まで、幼児とその保護者)=第3木曜日18時〜19時30分

■開催場所 喫茶ラズベリー(横浜市鶴見区佃野町22−13ドミール鶴見1階) ■料金 幼児無料、子ども(対象者)100円、保護者300円

■問い合わせ・申し込み 喫茶ラズベリー045−582−9218 Facebook

※寄付は随時受付


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